《心》讲述的是“先生”结识并爱上了房东家的小姐,同时也赢得了房东太太的好感,但却因年少时曾受到叔父的欺诈而对他人时存戒心,迟迟不能表白自己的心意。后来,“先生”的好友K住进了房东家里,也爱上了小姐,直率的K向好友“先生"表白了自己的心事,“先生”在表面上批评K“不求上进”,背地里却偷偷地向房东太太提出要和小姐结婚。知道了这一切真相之后的K在绝望中自杀了,同时K的死也留给“先生”一生的不安和自责,婚后的“先生”一直无法忘却K,他的内心无比的寂寞,终于也走上了自杀的道路。
「私はKと並んで足を運ばせながら、彼の口を出る次の言葉を腹の中で暗(あん)に待ち受けました。あるいは待ち伏せといった方がまだ適当かも知れません。その時の私はたといKを騙(だま)し打ちにしても構わないくらいに思っていたのです。しかし私にも教育相当の良心はありますから、もし誰か私の傍(そば)へ来て、お前は卑怯(ひきょう)だと一言(ひとこと)私語(ささや)いてくれるものがあったなら、私はその瞬間に、はっと我に立ち帰ったかも知れません。もしKがその人であったなら、私はおそらく彼の前に赤面したでしょう。ただKは私を窘(たしな)めるには余りに正直でした。余りに単純でした。余りに人格が善良だったのです。目のくらんだ私は、そこに敬意を払う事を忘れて、かえってそこに付け込んだのです。そこを利用して彼を打ち倒そうとしたのです。
“我同K并肩走着,心里却暗暗地等着他接下去要说的话。也许说‘设下埋伏等着他’更恰当些。那时,即使说我在暗算他,也不算过分。不过,我也有受过相当教育的良心,倘若这时有人走到我身边,小声对我说一声:你真卑鄙!也许在那一瞬间,我会猛地清醒过来的。如果那人就是K,恐怕我也会在他面前满脸羞红。因为唯有他对我的责备最正直、最单纯了。他的人格太善良了。花了眼的我,竟忘记了值得尊敬的正在于此,反而借此机会,利用这一点将他击倒。
Kはしばらくして、私の名を呼んで私の方を見ました。今度は私の方で自然と足を留めました。するとKも留まりました。私はその時やっとKの眼を真向(まむき)に見る事ができたのです。Kは私より背(せい)の高い男でしたから、私は勢い彼の顔を見上げるようにしなければなりません。私はそうした態度で、狼(おおかみ)のごとき心を罪のない羊に向けたのです。
过了一会儿,K叫了声我的名字,望着我。这次是我自然地停下脚步,于是他也停了下来。这时我才从正面看见他的眼睛。他的个子比我高,我势必要仰着点头才能看清他的脸。我的那副神情,就仿佛狠心的狼盯着无罪的羊一般。
「もうその話は止(や)めよう」と彼がいいました。彼の眼にも彼の言葉にも変に悲痛なところがありました。私はちょっと挨拶(あいさつ)ができなかったのです。するとKは、「止(や)めてくれ」と今度は頼むようにいい直しました。私はその時彼に向って残酷な答を与えたのです。狼(おおかみ)が隙(すき)を見て羊の咽喉笛(のどぶえ)へ食(くら)い付くように。
「止(や)めてくれって、僕がいい出した事じゃない、もともと君の方から持ち出した話じゃないか。しかし君が止めたければ、止めてもいいが、ただ口の先で止めたって仕方があるまい。君の心でそれを止めるだけの覚悟がなければ。一体君は君の平生の主張をどうするつもりなのか」
‘这件事不要再提了吧。’他说。他的眼光,他的言语都流露出极端的痛苦,我竟无言对答了。‘别提了吧’他恳求般地又重复了一遍。那时,我给他的回答是残酷的,就象狼瞅准机会咬住羊的喉咙一样。
‘别提了?这不是我先说的,本来就是你提起的话头。但是,如果你不想再提也可以,不过只停留在口头上而不是从心底里下决心是不行的。你究竟打算怎样履行你平时的主张呢?’
まちぶせる【待ち伏せる】
埋伏,伏击;隐蔽起来等候,守候.
(例)木の陰で~/埋伏在树后.
つけこむ【付け込む】
〔付け入る〕[チャンスに]抓住机会,乘机;[相手の困難に]乘人之危(成).
(例)無知に~/欺其无知.
ごとき【如き】
如,像,如同,……样的.
(例)春の~天気/像春天一样的天气.
食い付く
〔かみつく〕咬住,咬上.
(例)イヌに食いつかれる/被狗咬.
あるまい 否定的推量 表示“也许不......”“大概不......”=ないだろう
主播介绍
本期主播:Reno
本期编辑:LMN
责任编辑:日语之声
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